CompetitivEdge: Vol.2 小松精練株式会社 – 都会のヒートアイランド現象を抑えるエコ素材

5/10/2013 11:15:00 AM

CompetitivEdge第二回目のお相手は小松精練株式会社。環境対策・コスト削減の両面に効果があるエコ素材として注目されている「グリーンビズ」について、同社取締役技術開発本部長の奥谷氏にお話を伺いました。


CSGE:

御社が開発されたグリーンビズとはどのような素材なのでしょうか?

Komatsu:

Komatsu 1グリーンビズは、まったく新しい吸水・保水セラミックスです。主な材料は、直径3μmのバイオマスケイクと呼ばれる産業廃棄物、珪藻土、粘土の3つです。これらを混ぜ合わせ、1000℃以上の高温で焼き上げることで、連通気孔と超微多孔構造を併せ持ち、飽和含水量50%以上という極めて高い保水能力、そして、断熱能力をもつ特殊セラミックスに生まれ変わります。それにより、グリーンビズは「寒いときには暖かく、暑いときには涼しく」を実現する素材といえます。また、無機質・無害の素材を使用するため、燃えることがなく、利用後の残材も細かく砕いて土に戻せるという環境にやさしい面も持っています。
Komatsu 2

CSGE:

御社は元々テキスタイル(布地)メーカーですが、なぜグリーンビズのような本業とは離れたセラミックスパネルを開発されることとなったのしょうか?

 

Komatsu:

Komatsu 31943年の創業以来、私たちはテキスタイルメーカーとして歴史を重ねてまいりました。日々、生地を染色・加工する業務において、私たちは一日約25,000トンもの水を使用します。結果、染色工場では、大量の汚水を毎日産むことになります。そのため、責任ある企業として私たちは、日々の廃水処理を行ってきました。ただし、この廃水は余剰微生物を多く含む「バイオマスケイク」と呼ばれる余剰汚泥(産業廃棄物)でもあるため、勝手に処理できないという問題がありました。
Komatsu 4この問題を解決するためにこれまで様々な試行錯誤を重ねて来ましたがうまくいきませんでした。ある時バイオマスケイクに珪藻土、粘土を混ぜ合わせ、1000℃以上の高温で焼き上げることで、たくさんの小さな穴を無数にもつブロック素材ができることがわかりました。この余剰汚泥は、生き物ですから成分のほとんどが水であり、しかも非常に脱水がしにくいという特徴のため、当初は非常に使い勝手が悪いと考えられていたのですが、ある時、逆の見方をすると「非常に吸水力が高く、かつ保水能力が高いマイクロカプセル」として様々な用途に活用し、新しい市場を開拓できるのではないか、と社内の人間が気づいたのです。そこから、地元の大学の先生にアドバイスを頂きながら特殊セラミックスとしての試行錯誤を重ね、グリーンビズに行き着き、3年前に本格事業化しました。

CSGE:

逆転の発想から生まれた素材というわけですね。現在ではどのような市場での活用が見込まれているのでしょうか?

Komatsu:

Komatsu 6グリーンビズは大量の水を吸収し、長期間保水する性能のため(上記ビデオの1:20あたりからご覧ください)、定期的に水を与えなくても環境にも依りますが雨水だけで植物が育ち、維持・管理の負荷もほとんどかかりません。また、セラミックスに蓄えられた水が蒸発することで打ち水効果を発揮し、ヒートアイランド現象をも抑制することが出来ます。これらの理由から屋上緑化材としての活用が積極的に進められています。また、「寒いときには暖かく、暑いときには涼しく」を実現する素材であるため、住宅などの建物の壁面などに使用していただく機会も考えています。それ以外にも、粉砕してセメントと混ぜ合わせたブロックにすることで、ヒートアイランド現象を抑制するための歩道・広場や駐車場など路面の断熱材としても使用されています。

CSGE:

東京を始め、日本でも「屋上緑化」への注目が高まっているような気がしますが、この分野での競争をどのようにお考えでしょうか?

Komatsu:

Komatsu 5確かに環境ビジネスへの注目は高まっています。近年では、新規建物の屋上の一部を緑化しなければならない、と規制で定められてきていることもあり、ここ10年くらいは屋上緑化市場は右肩上がりといえます。と同時に、一言で「屋上緑化」といっても色々な意味があり、とりあえず一部屋上の面積に緑を植えることやデパートの屋上などに庭をつくる、など様々な取り組みがなされていますし、そのための製品も多様に存在します。その中で私たちのグリーンビズは、「メンテナンスがほとんど不要である」「実際の断熱効果やヒートアイランド現象の緩和効果が高い」という点で、具体的かつ優れた差別性を持っているといえると思います。2012年11月にサンフランシスコにて開かれたエコ関連資材の展示会に出展した際にも、私たちの製品に対する現地からの評価は高かったと感じています。

 

CSGE:

今後新しい市場を開拓する上での取り組みとその際にクリアしなければならないチャレンジについてお聞かせください。

 

Komatsu:

まずは環境への意識が高い海外市場に進出する予定で、ドイツ・イタリア、シンガポール、中国などでの海外展示会出展を考えています。そこでのチャレンジとしては、やはり建材としてのこのブロックは重すぎて輸出はできないため、技術供与や必要に応じた設備供与を通じて、どのように現地生産を可能にできるか、となってくると思います。その上で、地場でつくったものをその地場で販売するという「地産地消モデル」をどのように創れるかがポイントとなります。
 

また、市場には様々な競合製品があるため、建築家や施設とのコラボレーションを通じたPRやブランド体験の場の創造などを通じて、どのように差別性のあるブランドの評判を築き、私たちの製品を市場で受容してもらえるかということも大事なポイントとなります。

 

北米ではこれまでチャネルがなかったのですが、2013年からは戦略的な市場として位置づけ、戦略的なパートナーシップの構築も含めて、市場を開拓するための取り組みを行っていきたいと考えています。

小松精練株式会社について

(日本語版) http://www.komatsuseiren.co.jp/

(英語版) http://www.komatsuseiren.co.jp/en/index.html

 

 

コーネル大学SGEセンターについて

私たちコーネル大学SGEセンターは、企業が先進国および新興国における社会的・環境的なニーズを戦略的に充たすことにより、自らのビジネスにとって新しい市場を開拓するための実践的なプロジェクトワークを企業と共に推進しています。

http://www.johnson.cornell.edu/Center-for-Sustainable-Global-Enterprise.aspx
http://www.johnson.cornell.edu/Center-for-Sustainable-Global-Enterprise/About/Faculty-Staff.aspx

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